デビッド・モーガン氏(The Morgan Report発行者)は、シルバー(銀)市場において「西側のペーパーマーケット(先物)」と「東側の実物マーケット」の乖離が決定的な段階に達していると指摘し、これまでのグローバルな価格決定メカニズムが崩壊しつつある現状を鋭く分析しています。
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分析概要
1.「上海プレミアム」が示す市場の分断
本インタビューの最大の論点は、上海市場の銀価格がロンドンやニューヨーク(COMEX)などの西側ベンチマークに対して、一時10ドルもの高いプレミアム(上乗せ金利)で取引されている事実です。- 裁定取引の不全: 本来、自由な市場であれば裁定取引(安い方で買い、高い方で売る)によって価格差は解消されますが、この差が持続していることは、市場が「摩擦のない単一のもの」ではなくなっていることを示しています。
- 物理的なタイトさ: モーガン氏は、このプレミアムは単なる政策的な要因ではなく、東側(特に中国やインド)における実物銀の圧倒的な需要と、物理的な在庫の逼迫を反映していると主張しています。
2.「価格発見機能」の喪失とコメックスの限界
モーガン氏は、西側の貴金属市場が長年抱えてきた「ペーパー(紙の証券)」による価格操作の限界を指摘しています。- 紙 vs 実物: 西側市場では、実際の現物保有量とは無関係に、レバレッジをかけた先物取引が価格を決定してきました。しかし、上海やインドで現物現渡しを求める動きが強まったことで、西側の「紙」の価格設定が実態を反映しなくなっています。
- 価格支配権の移動: 世界の現物需要が東側に集中する中で、価格発見(プライス・ディスカバリー)の主導権がニューヨークから上海へと移りつつあるというのが彼の主要な主張です。
3.産業需要とインドの爆発的蓄積
シルバーの二面性(通貨的側面と産業的側面)のうち、現在は特に産業需要と新興国の蓄積が価格を押し上げていると分析しています。- 太陽光発電とハイテク: 脱炭素化の流れの中で、太陽光パネル等への銀の使用量は増加の一途を辿っています。
- インドのETFと蓄積: インドではETFを通じた銀の蓄積が加速しており、政府レベルだけでなく個人投資家レベルでも「実物資産」へのシフトが鮮明になっています。
4.ポートフォリオの「保険」としての銀
モーガン氏は、シルバーが1オンス100ドルに達した際には「パーティーを開く」と公言しつつ、投資家には冷静かつ戦略的な保有を推奨しています。- ボラティリティへの備え: 現在の市場はマージン(証拠金)に左右される激しい変動の中にあります。短期的な急騰や急落に一喜一憂すべきではありません。
- 安定の保険: シルバーを、不動産や株式、債券といった他の資産に対する「火災保険」と捉えるべきだと説いています。家が燃えない(金融システムが崩壊しない)ことを願いつつも、万が一の際の「安定のためのコスト」として、ポートフォリオの数パーセントを現物で持つことの重要性を強調しています。
結論:「新たな通貨体制」への予兆
モーガン氏の主張を総括すると、現在の銀市場の混乱は単なる「価格の上昇」ではなく、「西側主導の金融・決済システムに対する、実物資産に裏打ちされた東側システムの挑戦」の現れです。上海プレミアムが常態化し、西側の先物市場が在庫不足に直面する中で、シルバーは「デッドマネー(死んだ資産)」から、最もダイナミックな「通貨レジームの転換」を象徴する資産へと変貌を遂げたというのが彼の見解です。
David Morgan氏(右)
Google GeminiによるAI生成画像