11月15日号

先週の金曜日に続き、今週の金曜日にも外信ロイター通信発の信金破綻ニュースが飛び込んできた。今週は、宮崎の日南信金の経営破綻である。
◇預金量は三百五十五億円。貸出は二百二十三億円。その一割にあたる三十四億円が不良債権となり、結果的に十四億円の債務超過でギブアップになったという。
◇この不良債権発生原因が問題だ。四十九歳になる本店長経験の元支店長が、さる九月三十日に自殺。その遺書から横領事実が発覚した―といわれるから、いかに内部事務管理がずさんだったか。債務超過の咎めない昔なら、そのまま事業継続のケースでもあろう。
◇三十四億円もの大金を何に使ったのか。遺書には、親族の借金返済にあてた―と書かれていたと金融再生委員会の担当官は語っている。従って不動産等融資の目減りや過剰融資のつけが大きすぎて、自力再建困難となった先週の『小川信金』とは、破綻内容が表面上は違うということであろう。
◇それにしても先週破綻の『小川信金』の経営姿勢も脇が甘かった。理事長の梅澤謙之氏は、昭和三十一年慶大卒の二代目。十五年間会社勤めしてから入庫十年目で理事長に。金庫業務は専ら役員ナンバー二のプロパー専務理事に、殆ど委せっぱなしであったといわれる。
◇理事長の実父で、小川町長までやった故・梅澤惣兵衛氏は当時、地元から出ていた山口敏夫元代議士の後援会長の職にもあったという。
◇不良債権の中にはバブル利権代議士、山口敏夫氏に絡むゴルフ場開発融資なども少なからずあったようだ。東京のコスモや安全、東京協和各信組と同じく、政治志向で派手な振る舞いが、タブーである金融マンの命取りになったケースといえよう。

読みもの バックナンバー 出版のご案内