6月25日号

さる六月二十四日、 東京・大手町の経団連ホールで開催された全国信金大会に、小渕恵三総理大臣が出席して挨拶された。朝方、 ドイツのケルン・サミットから急遽駆けつけての出席であり、ご挨拶でもあった。
◇現役総理の信金大会出席としては、昭和四十七年八月二十五日の九段会館で開かれた「信金預金十兆円達成記念大会」に当時の田中首相が出席。そして同じく昭和六十一年九月十日に経団連会館での「五十兆円達成記念大会」の懇親パーティーに、当時の中曽根首相 が出席と二回ほどある。
◇しかし、これらはいずれも業界側から強く要請しての、いわば“ご祝儀”出席でもあった。 したがって今回のように、通常総会後の定期大会に、それも全銀協や他の金融業態が経営破綻や不祥事続発で世間の総批判を浴び、大会そのものが中止を余儀なくされている時、現役総理自らの“意思表示”?もあっての信金大会出席 は、歴史始まって以来である。それだけに今回の信金大会の意義は大きい。
◇総理大臣自らが出席したため他の経済閣僚も代理がきかず、従って金融再生委の柳澤委員長、堺屋経企庁長官、速水日銀総裁らが壇上に揃い踏みした今回の信金大会は、まさに壮観。またこれら政府高官のそれぞれの挨拶の内容も、単なる儀礼的なものではなく、心から「信金の良さ」と「社会的な位置付け」を評価しての語りに、大会会場が“し−ん”と聞き入っていたのが、印 象的でもあった。
◇小渕総理は「貸すも親切、貸さぬも親切」の故・小原鐵五郎翁の語録の一節を引用し、信金業界が引き続き「利用者」と「日本国民」の信頼を確保するよう一層の経営努力をしてほしい−と挨拶を結んでいた。これからの信金界の役割、益々大きい−というところか。

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