10月25 日号社説

 “城南”は、いまさら“小原さん”の名を出したり、第二分類を公表すると宣伝したり、相変わらず話題づくりに忙しい。
▼第二分類とは、いまさら言うまでもなく「回収に要注意の債権」ということだが、日本列島超不景気の今どき、「業況安定で債権回収に全然心配がない」などと言われる取引先とくに中小零細企業層が、全国にどの位存在するのか?疑わしいご時勢であろう 。
▼とくに信用金庫の取引者の場合、銀行サイドからは取引対象外であまり利益率の高くない企業層が多い。そのためにも相互扶助による協同組織で、半ば救済金融の色彩が強いわけである。公的資金を入れるデタラメ銀行の第二分類が、不良債権隠しの「温床」だからといって、株式会社銀行と同じ基準でなにもかもやられたのでは、まず取引者自体がまいってしまう。従って銀行も厭う第二分類債権公表などは、信金の場合、全くの自殺行為だ 。
▼護送船団時代から自由競争へ−と、たしかに時代の流れは変わっているが、「信金」という同一看板で営業活動をする以上、共通の「利害協調」は常につきもの。全国隅々の信金を回って「信金道」を説いた故・小原会長には、いまだに熱烈な“小原ファン”が多いが、今のは天と地の違い。業界の“はぐれ狼”扱い視されている 。
▼やることなすことすべてがパフォーマンスで、「刹那的」。業界のイメージアップより、イメージダウンだ−と嘆く信金理事長・関係者は多い 。
▼日本金融界はいま最悪の混乱期。かつての名門金庫だけに、国際社会から孤立した“北”みたいな存在には、なってもらいたくないとは思うのだが…。

読みもの バックナンバー 出版のご案内