1月25日号
 郵政省が過日公表した旧ろう十二月末の郵貯純増額は三兆三千四百十三億円で、月中の伸びでは史上最高を記録した−といわれる。
▼この数字を市中銀行に対比してみると、一八七七年、明治十年に創立された岐阜の十六銀行預金総額に匹敵する。十六銀行が百二十一年の長い間、営々として集めてきた預金残高を、郵貯はたったの一か月、三十一日で達成したことになる。これにより十二月末の郵貯残高は、二百三十六兆八千四百八十八億円。前年同月比十四兆四千二百八十億円の増だという。
▼といって感心してばかりはいられない。郵貯が伸びる−ということは、民間金融機関が“不安である”ということだ。山一だ、拓銀だ−と歴史のある世に言う一流銘柄会社、銀行がバタバタと潰れては、信用不安も極限。次はどこが潰れるのか?というのが庶民の偽らざる気持ち。“国営銀行”の郵貯なら、まず大丈夫−といったところなのである。
▼金融機関にとって“信用”は、最も大事な基本財産。崩すことは簡単でも、築くことは大変である。今更言うまでもなく預金はその信用のバロメーターである。さる十二月末で全国信金の預金総額は、遂に百兆円を達成した。地域の人々の小さな預金・積金を集めて百兆円。全国十六万役職員の皆さまの大変な快挙である。
▼ところで東京・大阪・東海各地区の賀詞交換会に出て、特に感じたことは、 全国でもトップクラスの金融不安地域でもある大阪の信金業界が、一番元気がいいー ということである。
▼第二地銀や信組の大型金融機関が、ここ数年の間に次々に倒産した地域にあって、不振信金を合併し「業界信用維持」を絶対に守ろう!の経営姿勢には、大いに感激した。それにしても「東京は?」といったところだろうか。

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