2004年3月5日号
 政府は景気がよくなったから、ペイオフは予定通り実施するとしている。
◇たしかに政府発表の景気動向指数によると生産指数は五〇%の分岐点を越え連続九ヵ月ほど、七〇%を超えている。しかしこれは生産指数の中でも鉱工業や有効求人倍率の指数が目立っているためで、全般的な有効需要指数が上昇したためではない。要するに景気のいいのは、中国や米国向け鉄鋼等輸出関連企業または一部IT関連産業が景気浮揚の支えになっているわけで、従って景気回復ムードは一般国民には全くピンときていない。
◇むしろ地方経済や中小企業金融面では、底冷えするほど悪くなっているのが現状であろう。というのは、都銀筋の不良債権処理が一段落した金融庁は、次の再編ターゲットを地銀等中小金融機関としているからである。
◇一方ではリレバンに徹して、片方では所定経理基準を達成し健全経営をしろ!とばかりに押さえ込むものだから、地銀や信金、信組等はかつての都銀のように貸し渋りや債権回収に躍起なのである。
◇こんな情勢を察知してか、今都銀の中小企業向け融資攻勢はすさまじい。五千万円までの融資は、申し込み三日以内に処理しますとばかりに、やたら無差別に電話攻勢が激しいとのこと。
◇過日、都内ではしんきん協議会による時局講演会があった。例年、会場は満席になるのに、今年会場は三分の二ほど。主催者はため息をついていた。金も貸さない中小金融機関は魅力がないのだろう。
◇こんな状況の中で、来春予定通りペイオフ解禁を実施すれば、一般の顧客は大銀行や郵貯に大移動必至である。
◇日本固有の中小企業金融制度を活かすためにも、ペイオフなどいっそのこと、廃止したらどうか。

新聞購読のご案内新聞購読のご案内 読みもの 出版のご案内