10月25日号
 とうとう来るべき時期が来た−ということか。宇都宮信金の経営破綻である。
 栃木県はたまたま記者の郷里でもあるので、「うしん」問題には特別の関心で取材配慮をしてきたが、総括的に見て今回の「うしん」破綻は、何分にも経営者不在の一語に尽きると言えよう。よく言えば個性派。結果から見れば、見かけ倒し≠フ一人よがり経営≠セったということ。店舗構造一つを見ても、例えば上戸祭支店や自治医大前支店などは、顧客本位というより、理事長の趣味趣向の域を出ていないと言えよう。
 店舗配置もしかり。市内が空洞化したとか、地価が目減りしたとか過日の記者会見でも外的要因を経営不振の元凶にして自己弁護していたが、そんな現象は全国的で「うしん」だけではない。今となっては時期遅しだが、現実の環境を分析してその都度、よりよい対応をするのが経営者であるはずだが、河合理事長の場合は、格好いいだけの上辺経営≠ナ今日の破綻に至った。
 消え去りゆく経営者に多くを語っても致し方ないが、要はいまの金融サバイバル時代の信金経営は、なりふり構わずトップ経営者自らが東奔西走することである。学歴も面子も関係ない。
 顧客さんを第一に考えて、その顧客さんと直接接する職員達をより大切にして、いかにしたら顧客のため、地域社会のためになるかをただただ考えて、職場環境整備に万全を尽くすことが、経営者の取るべき姿でもあろう。
 河合耕吉理事長は、河合家三代目理事長で東北大工卒で一時、日本電気に職があったと言われる。養子縁組先がたまたま金融家業≠ナあったということか。元大蔵省や日銀等の天下り就職組も、今回の「うしん」の事件を対岸の火事℃汲キることなく、しっかりと頑張ってもらいたい。  

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