<記者メモ>
6月5日号
「貸し渋り爆弾」
銀行の「貸し渋り」が、中小企業の倒産を増加させているとして社会問題になっているが、これが信金にも思わぬ「爆弾」となっているようだ。 都内某信金の役員はこう言う。
「そりゃ財務状況の悪い企業だとか、返済が滞りがちな企業なら、当然、我々も警戒しますよ。 ところが財務状況も優良、事業も順調、どこから見ても“ピカピカのべっぴんさん” の企業がある。そうすると我々も喜んで融資したり、下請け企業が持ち込むその会社の手形を 安心して受けたりするわけです。
ところが、そこに突然降ってくるのが、銀行の『貸し渋り爆弾』。
優良企業が銀行の貸し渋りで、ある日突然、資金繰りに行き詰まって、ドカンと倒産ですよ。同時に、それに巻き込まれてその下請けまで倒産。こちらは二重、三重のダメージを受けてしまう。
本当に頭が痛いですよ」。
またある都内信金は、 「まさに銀行の“犯罪”ですよ。
お客さんも、我々も、期日になれば資金の支払や返済を受けられるとか、 手形が決済されるということを『信用』して、すべて商売が成り立っている。
なのに銀行は優良企業に対しても、突然、バッサリ取り引きを中止したりするんですからね。
お客さんのことをまるで考えていないし、我々も巻き添えで火傷しているのが実態ですよ。
この辺の都銀支店長などは、ヘタに外に出ると融資を頼まれるので、挨拶回りもしないんですからね。
貸し渋りも極まれりです」。

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