1999/12/25号
全国トップの信金誕生なるか!
京都中央が京都みやこ、南京都を合併へ?
 昭和二十年十一月に全信協の前身である全国市街地信用組合協会の設立以来、五十四年、約半世紀に亙って常に業界トップの座にあって、何かと権勢を振るってきた城南信金に代わって、信金王国と言われる京都地区に業容共に全国一の信金が誕生する気配にあり、いま地元関西をはじめ全国の信金が固唾(かたず)を飲んで、その成り行きを注視している。全信連並びに近畿財務局、その他関西地区業界内の話を総合すると、かねてから経営不振が伝えられている「京都みやこ信金」と「南京都信金」は、同じ地元信金の「京都中央信金」(理事長・道端 進氏)または「京都信金」(理事長・井上達也氏)のいずれかに、最終的には事業譲渡の形で再編される方向で、いまそれぞれのトップレベルで極秘裡に交渉中であることが、このほど明らかになった。

信金、信組に公的資金ー優先出資発行で資本増強へ

信金、信組など個別の協同組織金融機関に、優先出資の発行が認められる方向となった。懸念されていた優先出資の買い上げについても、「公的資金」で行う方向で話が詰められている。
 優先出資法の改正案は、来年一月の通常国会に上程されるが、関係者らは「何とか来年三月の決算期に間に合わせたい」意向。
 これまで再生委では、ペイオフに備え、大銀行、地銀、第二地銀の体力を強化するため、優先株等で公的資金による資本注入を行ってきたが、協同組織金融機関に対しても、同様に体力強化を進めるものと見られる。
 従来、出資金の増強や劣後ローン程度しか増資手段がなかった協同組織金融機関の新たな自己資本増強手段として大きな援軍となりそうだ。

どうする、ペイオフ解禁
首都圏の中小金融機関、総崩れに?
 越智再生委委員長が「信組に限って、ペイオフを延期しては」と発言したり、自民党金融問題調査会内でもペイオフ延期論が出るなど、解禁まであと一年少しと迫りペイオフ論議が再燃してきた。
 預金流出につながるペイオフは、金融機関にとっては「死活問題」。
 十六日に自民党の財政・商工・中小企業合同部会、金融問題調査会の他、与党三党のペイオフ問題作業チーム会合が開かれ、同ペイオフ会合で、従来からペイオフ延期派の第二地銀協、全信協(代表で長野副会長)、全信中協が強力にペイオフ延期を求めた他、ペイオフを前提に準備を進めている地銀協代表も「地銀協として統一見解はないが、個人的にはペイオフ解禁は難しい状態になってきたのでは」と述べるなど、全銀協、労金を除いた全業態が二〇〇一年のペイオフ解禁に疑問を呈した形となった。
 中小金融機関からは「今ペイオフ解禁となれば、現実問題として、東京都の監督下にあった都内の信組は“総倒れ”になってしまう」「預金流出が起きたら対策は皆無…」と悲痛な本音が出始めている。
 なお、ペイオフを前に、すでに民間金融機関では預金の移動が始まっているが、同じ中小金融機関でも、ペイオフの影響は「二極分化」の傾向が出ているようだ。中小金融機関のペイオフ影響の実態を追ってみた。

松沢信金、昭和へ事業譲渡
 松沢信用金庫(本店・東京都世田谷区 理事長・元木秀夫氏)では、このほど自力再建を断念し、来年十月をめどに隣接の昭和信用金庫(本店・東京都世田谷区 理事長・薮崎丈尚氏)に事業譲渡することになった。不良債権は預金保険機構に切り離し、正常債権及び預金者を昭和側が引き継ぐ。
 松沢信金は、ここ数年、長期不況による地元中小企業の倒産や地価下落が重なり、業況が悪化。今年三月末時点では自己資本比率が四・〇四%あったものの、八月からの日銀考査で要償却・引当債権が増加。九月末で要償却債権が四十億九千七百万円に達し、▲二十九億円の債務超過に転落したもの。
 松沢信金では数年前から自力再建や再編を模索してきたが、出資金の増強は配当負担が大きく、また全信連からの劣後ローン、再編ともに難航していた。しかし、松沢の債務超過が固まったことから、昭和信金・薮崎理事長が、地域経済や業界全体への影響を考え、ついに再編を決断。松沢・岩崎前理事長に再編の意志を伝え、岩崎氏はようやく肩の荷が下りて安心したのか、その二週間後、息を引き取ったという。

山形新幹線、新庄延伸へ
 【新庄】十二月四日、新庄市民の宿願─山形新幹線「つばさ」の新庄延伸が実現し、東京─新庄間が最短三時間五分で結ばれた。
 延伸開業当日、新庄駅には、高橋栄一新庄市長をはじめ、新庄商工会議所会頭をつとめる新庄信金の井上作松理事長らが、地元の熱い期待を乗せた東京行き一番列車を見送った。
 新幹線の新庄延伸は、当初から困難の連続。しかし地元自治体、商工会議所、信金、市民一体となっての丸七年にも亙るねばり強い誘致活動が実を結び、「念願」の開業の日を迎えることができたもの。

新庄信金、特産自然米作り、軌道に
 

しんきんで宝くじ販売開始ー上々の滑り出しに
 全国百五十七の信用金庫では、十一月二十九日より、第一勧業からの再受託により一等賞金三億円が当たる年末ジャンボ宝くじ等待望の宝くじの窓口販売を開始した。
 宝くじ業務の実施前には、信金が発売しても売れるのかどうか、またコスト的にも人件費等をかけてペイできないのではないかなどいろいろ言われたが、年末ジャンボの扱いと重なったこともあって、上々の滑り出しとなったようだ。
 東京地区などは、第一勧銀系の支店や窓口販売所などと重なるところが多く、手を挙げても思うような場所で販売できる金庫が少なかったが、こうした中、東京の東日暮里にある日興信用金庫(理事長・宮永正巳氏)では、さほど宣伝できなかったにも関わらず、発売初日に本店だけで、三千枚を売り上げる好スタートを切った。
 ちなみに売上好調金庫の発売一週間の結果をみると、川崎信金(理事長・寺尾嘉剛氏)では、本店を含む七店舗で二万四千枚を売り上げたのを始め、埼玉縣信金(理事長・安田裕信氏)でも十一店舗で一万九千二百十六枚、群馬の大栄信金(理事長・大内健氏)でも六店舗で一万二千二百九十枚となっている。
 他の信金でも、一日あたり二千枚から四千枚近く売り上げており上々の滑り出しとなった。  

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