1999/11/15号
信金年金、「行くも地獄、戻るも地獄」
掛け金アップに続き給付削減も
 本紙で昨年来、特集してきたように、信金厚生年金基金は、いま存亡の危機に直面している。昭和四十二年一月に「全国の信金並びに関連団体」役職員の老後の生活安定と福祉の向上を図ることを目的に、退職後の年金を給付するため全国の加入事業所を一体として設立された信金厚生年金基金が、いま存続か解散かの経営危機に直面しているのである。
 昨年十一月に、それまでの「名目」理事長から「実務面でも数字に明るい」再建のための理事長として、摂津信金・大木令司理事長が代議員の全員一致で推挙され、現在懸命な見直し作業と運営努力を続けている。しかしながら、国の年金が行き詰まり、部分的に確定拠出型=いわゆる401k型に移行としている中で、企業年金基金の現状は、まさに「行くも地獄、戻るも地獄」。中には破綻・解散したり、確定給付から確定拠出にして個人へ責任転嫁するところもでている。こうした中で信金年金も例外でなく、現状では毎年四〜五百億の赤字が膨らむという運用環境にあり、最悪、破綻・解散となれば、加入員十六万人の老後の生活設計に大きな狂いが生じてしまうことになる。
 しかしながら存続させるには掛け金アップと、予定利率の引き下げ、給付の減額が不可欠ーといわれる。
 大木理事長は、これまでの資産運用を見直し更なる効率的かつ有効な運用先を徹底的に検討するとともに、茂木副理事長と手分けして、いま必死で全国行脚し、年金の実状とその対応方法についての理解をお願いしている。
 ある地区説明会での大木理事長の年金実態の説明と内容を次に取材した。

小川、埼玉縣信金に事業譲渡へ

 【浦和】バブル期の東武東上線沿いの住宅建設や、ゴルフ場等サービス業への積極融資策により、かねてより経営不安が言われ全信連の全面的なバックアップの下、再建策が進められていた埼玉県内西部の小川信用金庫は、今年三月末時点での決算から、九月仮決算の間に債権が急速に悪化。
 それまで全信連とともに進めていた自主再建を断念し、埼玉縣信金に事業譲渡する方向を決め、十一月十二日埼玉縣信金浦和支店で記者会見を行った。

日南信金、職員横領で破綻
 【日南】宮崎県日南市の日南信用金庫(理事長・宮川茂則氏)は、十四億円の債務超過に陥ったことから、十一月十九日、金融再生委員会に破綻を申請、認定された。
 職員による、同金庫の預金量(三百五十五億円)の一割にあたる三十四億円もの横領が大きな原因。この職員(49)は九月末日自殺、その遺書から今回の事件が発覚した。

大和銀、住友信託がマスタートラスト等で新会社
 大和銀行(頭取・海保 孝氏)と住友信託銀行(社長・高橋 温氏)は、有価証券等の資産管理に特化した信託銀行を共同子会社として平成十二年十月を目途に設立することで基本合意し、十一月九日に発表した。
 事業内容は、両行の年金信託、単独運用指定金銭信託、特定金銭信託、証券投資信託等の管理業務。カストディー、元利払い等の業務。日本版マスタートラスト等の新規業務を予定し、窓口等の営業面は、引き続き大和銀行と住友信託銀行が行っていく。
 資産管理業務では日本一の五十兆円規模となる見込み。

王子信金、日本信販信組の受け皿に
 王子信用金庫(理事長・大前孝治氏)では、十一月十五日東京都庁で、さる五月二十一日経営破綻し、現在金融整理管財人による事業の整理が行われている日本信販信用組合の事業譲渡先(受皿金融期間)となることにこのほど合意し、覚書に調印した。

水戸信金、龍ヶ崎と正式合併調印

全信協、信金イメージアップに新キャラ起用へ

信金東京共同事務センター、経営者勉強会開く
 信金東京共同事務センター(理事長・矢澤洪三氏)では、十一月十一日〜十二日の二日間、六十九金庫六団体の七十九名参加のもと、99年の経営者勉強会を台場のホテルグランパシフィックで開催した。
 開会にあたり、矢澤理事長は、センターの現況として、二十四時間対応とバックアップシステムの構築、共通ソフト配分比率の見直しのほか、モバイルバンキングやテレホンバンキング、インターネットバンキング等の新しいデリバリーチャネルの拡大と今後の展開について概要を述べ、会員金庫の協力と新システム等のさらなる活用を促した。
二日目は、伊藤専務から具体的なセンターの現況報告。
 とくに二〇〇〇年問題の危機管理対応では、十二月三十一日より一月五日まで特別体制をとり、共同センターの大会議室に対策本部を設置し、元日の零時から当座・普通残高一覧表を授受。その後、一月四日までにオンライン口座の確認テストや外部接続テストを完了し、業務開始に支障のないよう万全を期していることなどが説明された。

水島信金・篠山卓郎理事長逝去




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