2002/12/25号
金融再生プログラム 不良債権処理で経済再生なるか?
−バブル大口融資と中小企業融資「一緒くた」の懸念も
 「金融機関の不良債権問題の解決と経済再生」を旗印に、急遽、十月末に「金融再生プログラム」、十一月下旬にこれに基づく「作業工程表」が作成、公表された。
 平成十六年度までに主要行の不良債権比率を一気に半分にするなど、金融システム問題の早期解決、いわゆる「ハード・ランディング」路線を目指している。
 早速、年内に「金融問題タスクフォース」(特別班)を年内に立ち上げてモニタリング体制を強化するのをはじめ、数々の取り組み内容が示されている。
これらは大手行を主眼に置いたもので、中小・地域金融機関の不良債権処理については、金融審議会で「リレーションシップ・バンキングのあり方」を討議して、年度内をめどに「アクション・プログラム」を策定する。
 政府や金融庁にも、中小企業の経営実態は大企業とは大分違うことが徐々に認知され、今年六月に金融庁が「金融検査マニュアル別冊中小企業融資編」を策定したり、「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」を新設したりもしている。
 が、現場の中小金融機関からは、「大銀行への資産査定が厳しくなれば、じきにそれが中小金融機関へも下りてくるのでは…」と、警戒する声が非常に多い。
 大手行だけでなく、地域銀行までもが中小企業に猛烈な「貸し剥がし」を行っているのも、機械的、一律的な金融庁検査によるものとの指摘が多い。現場の中小金融機関らは、
「不良債権=悪→とにかく早期処理の考えが強く、追い貸しで延命しているゼネコン、ゴルフ場融資のような、先の見込みがない『バブル引きずり型不良債権』と、景気悪化による売上減少で困っているが何とかやりくりしつつ頑張っている中小企業のような『不況型不良債権』と一緒くたに考えられてしまっているのではないか」と言う。


業界内処理で信金業界の「信用」貫く
−加藤敬吉全信協前会長(岐阜)合同追悼式に、二千名余が参列
 【岐阜】「理念なき経営は亡びる」として、信金経営の原点回帰を説きつつ平成六年から十三年までの七年間、全国信用金庫協会、信金中金の会長職にあった岐阜信用金庫の加藤敬吉会長の全信協、信金中金、岐阜信金の合同追悼式が、さる十二月十八日午後二時から、岐阜市内の岐阜メモリアルセンター「で愛ドーム」で執り行われた。
 追悼式は、信金次期システム戦略会議で活躍する音瀬晴夫岐阜信金理事長が実行委員長で、全信協並びに信金中金の長野幸彦会長が実行副委員長を務め、信金関係者も全国から馳せ参じ、地元政財界関係者並びに金庫取引者等を合わせて二千名以上の弔問客が次々と集まり、故人の遺徳を偲び、県内でも有数の大追悼式となった。喪主は故人長男の加藤 哲氏が務められた。

☆「理念なき経営は亡びる」の名言も
☆地元発展に生涯捧げる


足立成和信金、12/16合併スタート
  都内足立区に本店のある足立信用金庫と成和信用金庫が合併し、十二月十六日、足立成和信用金庫としてスタートした。
 両金庫とも、足立区に特化した信用金庫として、足立区を中心に歴史を刻んできたが、地元顧客へのさらなる金融サービス提供を目指し、今年四月に合併を決断、これまで準備を重ねてきたもの。
 新金庫の本店となる北千住の旧足立信金本店では、新金庫の理事長に就任する足立・井上映治理事長と、副理事長となった田茂美佐夫・成和前理事長に、総代二人が参加して、新金庫スタートのテープカットが行われた。


新金庫名、『アルプス中央信用金庫』に
−赤穂・伊那、来年七月合併で
 新金庫名は、『アルプス中央信用金庫』、愛称『あるしん』に−。
 来年七月二十二日に合併する赤穂、伊那両信金では、十二月十六日、伊那信金本店において赤穂・渋谷敦士理事長、伊那・阿部凱人理事長はじめ代表理事出席の下、合併契約書の調印式を行うとともに、新金庫名を発表した。  



小山信金、栃木卸センター、出張所から支店に
 【小山】小山信用金庫(理事長・後藤利夫氏)は、平成十二年暮に開設した本店営業部・栃木卸センター出張所を支店昇格させ、十二月二日栃木卸センター支店(支店長・中見川健氏)として新装オープンした。  同支店は、栃木市の西南にある栃木市樋ノ口四五五―四の栃木卸センター入口にあった足利銀行の出張所を引き継ぎ、出張所として開設・営業を行ってきたもの。当初は、信金店舗に元の足利銀行のATMが間借りするという全国で初の共生型店舗で話題になった。  この共生により足銀利用者が新規顧客となった例が少なくなかったことから、この共生の試みは「顧客の新規開拓の一助となった」としている。  小山信金では、初の栃木進出店舗として積極的に営業展開してきたが、事務量や融資案件の増加から、現状の出張所では本店営業部からの判断を仰がねばならず迅速な対応が出来ないこと等により、二年という早さで支店昇格を決断したもの。  


ハナ信組ようやくスタート
−日本人理事長で、公的資金注入へ
 迷走していた朝銀統合問題が、年末を前にようやく決着した。
 破綻した朝銀千葉・東京・関東・新潟・長野の五信組の事業が、新設の受け皿金融機関、ハナ信組で理事長を日本人とすることなどが十二月十七日の理事会で決まり、事業譲渡についても同日、正式に契約された。ハナ信組には四千百億円規模の公的資金が投入されると見られている。
 朝銀信組(北朝鮮−朝鮮民主主義人民共和国系の金融機関)についてはこれまでに十六信組が破綻し、うち昨年までに十信組の受け皿に六二三一億円が投入された。
 残る六信組については、関東で一、関西で三信組の受け皿信組を設立して事業を引き継ぐというスキームが決まり、金融庁も今年三月に受け皿四信組の設立を認可していた。
 但し、朝銀東京信組などが朝鮮総連へ資金を流していた事実が発覚したことから、金融庁は新信組への公的資金注入にあたっては、「朝鮮総連からの独立性」を条件に掲げていた。
 そうした中、五月、「受け皿四信組の役員に、元朝鮮総連関係者がいる」と、国会で議員や警察関係者が取り沙汰たしたことから、公的資金投入は棚上げに。
 関西三信組(大阪のミレ、兵庫の兵庫ひまわり、京都の京滋信組)は、一旦決めた理事長を、すぐに日本人に交代させたため、金融庁では七月に公的資金投入(三二五六億円)を決めたが、関東のハナ信組(東京)は、理事長交代が難航し、公的資金注入も今日まで宙に浮いていたもの。
「と言うのも、日本人は『朝鮮総連関係者=全部悪。元朝鮮総連関係者が理事長をしている信組に公的資金などけしからん』と見ているのですが、北朝鮮は政経一体のヒエラルキー社会(階層は実に五十一に及ぶと言われる)なので、エリートで社会的地位の高い人であれば、=朝鮮総連幹部というのがむしろ普通なんですよ。
 件のハナ信組の理事長も、学校の校長で、非常に社会的地位が高く、同朋から信頼されている人物でした。本来、朝銀東京信組がデタラメ巨額融資で潰れていますから、受け皿信組(ハナ信組)設立への出資を求められても、在日北朝鮮人だって疑問を持つ所だったと思います。ですが、この理事長が信頼のおける人物だから−ということで、みな出資をした経緯があると言われています。むしろ、この方が外れると、また話がまとまらなく恐れもあり、理事長交代が難航したようです」(関係者)と言われる。
 加えて、朝銀の受け皿信組新設の際、各信組では常務など役員に日本人の元金融機関関係者を採用していた。元銀行マンや、元信金OBもおり、彼らが金融実務の補佐と共に、お目付け*となって、今までのように理事会を暴走させないセーブ(制御)機能も期待できると見られていた。
 というわけで、関係者間では、「実質的に」新信組と朝鮮総連との関係も、暴走する恐れも少ないと見られていたのだが、ところが、これまでの朝銀信組の不正送金の経緯から、「形」としても、日本人理事長¢フ制でないと、どうしても国会で超党派の政治家や、世間が納得しないという事情があった。
 そこで、関西の受け皿信組では、急遽、日本人常務を理事長に昇任させるなどし、関東のハナ信組でも、今回、常務の市川 弘氏(元東京ベイ信金)を理事長に格上げするなどしたもの。同信組は常勤役員4人中3人が日本人。
 在日北朝鮮の中小商工業者の人々にとっても、日本の師走は厳しいが、ようやく金融問題が落ち着くことになる。
●朝鮮総連とは
 日本への強制連行により在日となった北朝鮮の人々が、日本で弱者的立場であることから結束して同胞の組織「在日朝鮮人連盟」を作ったのが最初と言われる。これは後にGHQに解体され、昭和三十年新たに「在日朝鮮人総連合会」が出来たと言われる。
 だがその後、北朝鮮の朝鮮総連側が在日の朝鮮総連への支配を強めていき、近年は外貨吸い上げマシン≠ノ利用していたことが明らかになった。
 加えて近年、北朝鮮側は、在日朝鮮総連の会員一人ひとりにも資金提供を要請し、各自が生活費などの中から寄付をしていると言われる。






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