2002/12/5号
信金次期システム
業界不統一のまま、ベンダー同士の争いに!?
−強力トップリーダー不在が最大の原因
−構想挫折すれば、執行部総退陣の声も
 全国信金次期システム問題は三つどもえの様相となってきた。東京共同センター対SSC、SSCとシステムコンサルタントのフューチャー対NTTデータ、フューチャー対日立等ベンダー同士を巻き込んでの約2000億円の巨額開発資金争奪に絡む利害闘争の様相を呈してきた。まず全国の共同センターの大同合併をとか、既存共同センターとSSCとの合体が理想、などと様々な発言も続出、場合によっては平成17年のスタート前に空中分解も?と懸念する声も出始めている。「ベンダートラブル」の噂には、構想が潰れれば一番利を得る「某ベンダ」が日立に圧力をかけたのではとの一部見方も出ている。Linuxによる大規模なオープン系信金次期システム構築の成り行きに、単に国内の技術者ばかりでなく世界中の巨大企業・政府・金融機関が注目している中で、幾多の困難を抱えた信金「プロジェクトX」の成否に信金業界の盛衰がかかっていると言われ、正念場を迎えている。一方、SSCは淡々と勘定系を中心に十〜二十日、自営も含めての全国説明会を開き、各金庫の加入時期を詰める。

▽遂に総本山≠フ信金中金乗り出す−「六つの条件」出し、尻叩く
▽「次期シスに責任持つリーダーを決めよ!」
▽「ダメなら今のうちに中止したら」−東京共同・矢澤理事長
▽全国の引き入れが東京の狙い?−「東京だけじゃ財政もたない」
▽東京共同加盟金庫、「早く上の方でまとまって」
▽数年先のことなど考えられない?東京共同加盟金庫
▽ベンダー争いの裏に、「漁夫の利を得る本尊≠ェいる?」「日立の力不足?」諸説ふんぷん


東海地区に大ショック
−UFJ銀行(旧東海銀)国有化」なれば…
 竹中金融経財担当大臣らによる大手行経営の実態把握作業では、不良債権早期処理のためには、銀行に公的資金を入れ国有化すると同時に、経営責任を取らせるとの構想が出ている。この動きに対し銀行は過去のバブルの犯罪を忘れ銀行の公共性や中小企業融資を盾に、政策に対し反対を合唱している。前回の公的資金注入の際も銀行の責任が問われたが、うやむやになった。今回、銀行経営の責任に反対しているが銀行がバブル時に何をしたか?その後の日本経済失速にどんな影響を与えたのか。その責任を明確にしないままでの公的資金注入では、銀行存続のために潰されてきた企業や低金利を押し付けられてきた国民の怒りは収まらない。
 UFJ銀行やみずほ銀行は市場で「いつ国有化」されるのかされないのかが最大の関心事となっているが、こうした中、一部で高まっているのが、「トヨタがUFJの支援−さらに吸収に乗り出すのではないか」という観測。UFJ国有化騒動の折も折、トヨタ自動車が米に「トヨタ銀行」を設立する方針を決めたことが、この説に拍車をかけている。つまり、東海銀行→UFJ銀行になるや、UFJが東海地区の中小企業から猛烈な貸し剥がしを行い、下請けら東海の企業群が困っている。さらにUFJが国有化されれば、東海地区の企業、経済がどうなるかわからない。そこで東海地区の安定のため、遂に東海地区の"大本尊"が乗り出すのではないかというのだ。トヨタが乗り出すにせよ乗り出さないにせよ、「地域に主力となる地銀は必須」 との見方は多い。仮に今後、UFJ銀が国有化されたら、東海部分のみ切り離し"地銀"として復活させる 手もあるのでは−と見る向きもある。
 仮にUFJが「国有化」となった場合、中小企業や地域経済に与える影響はどうなのか。地域で中小企業金融を扱う各信用金庫に聞いてみた。

○「UFJが国有化になっても、全然影響ないですね」−都内信金淡々と
○「地元には大ショックに…」−息ひそめる東海地区信金
 


「埼玉」りそな「銀行」誕生へ
−埼玉「都民」にどれだけ「認知」?
【さいたま市】「埼玉」銀行が復活する。
 正式には、大和銀行グループとあさひ銀行が統合したりそなグループに入ったあさひ銀行の「埼玉県」部分を切り離し、埼玉県を唯一の営業基盤とした梶u埼玉りそな銀行」として新発足させるもの。
 さる十一月十九日午後三時から埼玉県さいたま市の関東財務局で、局長から銀行業の免許の交付を受けた。
 商号は、株式会社埼玉りそな銀行。本店をさいたま市常盤七―四―一のあさひ銀行埼玉営業部(旧埼玉銀行本店営業部)におく。代表取締役には、利根忠博氏が初代頭取に就く。職員数は、約三千人程度で資本金五百億、株りそなホールディングスが一〇〇%株式を保有する。
営業開始は来年三月一日で、預金量八兆二千億円程度、貸出五兆円、有人店舗百十三、ATM三百三十四の、「スーパー」地域銀行が誕生することとなり、実質的には、旧埼玉銀行本店本部があった浦和営業部(現さいたま市)が本店・本部となるため、約十年ぶりに「埼玉銀行」が復活することになる。

●「あさひ」銀行の必要なかった?
●「埼銀」、迷走の末の「地元回帰」


「信金破綻を絶対出さない!」
−信金中金・宮本理事長、業界の信用に全力
  信金中金・宮本保孝理事長は、十二月二日、記者会見を開き、信金中金の中間決算や信金業界の地位、信金中金の役割について、大要、次のように話した。
  ◇  ◇
 宮本理事長が、まず力説したのは、信金業界の健全性。
 全国信金の預金量は一〇三兆円で、都銀の二分の一、信組の七〜八倍ものスケール。質的にも、平成八年以降の金融機関の再編を見ると、破綻の割合は信金が九・四%(三九金庫)、銀行が一〇・七%(一六行)、信組が三三・八%(一二三組合)で、信金が最も破綻割合が少ない。
 しかも、破綻のうち預保を適用した事例は、信金では六・〇%だけ。銀行は一〇・七%、信組が三三・八%。信金業界が預保の利用が少ないのは、相援という業界の資金で多くを処理してきたためであり、非常に体力の高い業界と言える。よく報道で「信金・信組」と一括りにされるが、やや心外な気がする。
 今後も、信金業界は、昨年から施行の「信用金庫経営力強化制度」により経営破綻信金を絶対に出さないという決意。これについては、信金中金信用金庫部が全力を挙げており、九月末までに、全信金の経営分析を終え、上期・四五信金、下期・二五信金の経営相談を行った。
 これまでに各信金への資本増強ということで信金中金では千三百億円の劣後ローン支援を行ったが、規定では信金の自己資本の一五%=千二百億円が限度。そのため、二百億円程証券化して、生損保に引き受けてもらった。今、百億円余裕があることになるが、十二月、信金中金が二千億円増資するので、以降は百+三百=計四百億円の劣後ローン枠ができることになる。

 信金業界は公的資金を受けずに業界の力で対応する

 これに絡み、合併促進法を作る過程で行政側から、信金中金に公的資金を入れて、それを信金の体力強化に使うよう話があったが、信金中金としては公的資金を受けるつもりはない。
 (国が支援してくれるのであれば)信金への劣後ローンを、信託受益証券化してRCCや預保に買ってもらう形としたい。このスキームについては、行政側も受け入れ、条文に加えられることとなった。      



「身近で便利」をアピール
−ぐんま信金、11月18日スタート


「顧客ニーズに迅速かつ的確に応えていきたい」
興産信金80周年 in ハワイ
 


IR広報時代に逆行
−誰のための信金中金か?
 





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