- 2001/11/25号
- 貸すに貸せない信金業界
- どうする融資の収益減
- 信用金庫の貸出―融資が激減している。九八年十月に「中小企業金融安定化特別保証制度」が施行された時には、金融業態の中で最も貸出が伸びた信金業界だが、先が見えない大不況に、融資先である中小企業を巡る経営環境が一層厳しさを増しており、倒産件数が増加している状況にある。こうした中で必死で中小企業を支えていた信金業界も急速にその体力を失いつつある。 さらに貸出の減少に追い打ちをかけているのが、金融庁による「マニュアル検査」。金融庁は否定するものの、急激に人員を増加したことから検査官の半数近くが素人といわれ、しかも検査目的が各種のリスク管理のみに絞られていることから、教条的にマニュアルに沿った分類しかできない状況にある。また産業育成金融―融資についても無理解が多いことなどから、企業を生かす金融ができず、結果的に融資減少、倒産となって現れて来ている。一方で、年末を控え中小企業向けに十分な融資がなされない状況から、一般の金融業者が跋扈しており、こうした業者によって中小企業が食い物にされ、一層倒産が増えるのではと予想されている。
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- 南大阪信金、福岡ひびき信金スタート
- 二〇〇一年十一月十二日、大阪と九州で、二十一世紀の発展を目指し合併による大型金庫がスタートした。
- 大阪では、泉陽と泉州信金が合併、「南大阪信金」。九州では、北九州八幡と若松信金が合併し、「福岡ひびき信金」が誕生した。
- 南大阪信金は府内第三位、福岡ひびき信金は九州で第二位の金庫となる。
- 南大阪信金は、南大阪全体をカバーする預金量約六千億円の金庫に。新理事長は、旧泉州信金の山中邦夫理事長、代表理事会長を旧泉陽信金の岡 清理事長が務める。合併手続き上の存続金庫は泉陽信金。本店は旧泉陽信金本店に置く。
- 福岡ひびき信金は、福岡で大手、二千三百億円規模の北九州八幡信金と、約一千億円の若松信金との合併。新金庫の預金量は三千三百億円、北九州市西・北部をカバーする。
- 新理事長には古川育史理事長(旧北九州八幡信金理事長)、副理事長には堀 紀雄氏(旧若松信金理事長)。本店は旧北九州八幡信金の本店に置く。
- 信金年金理事長に、溝口氏(大阪)
- 名門、再編の核の三栄信組破綻
- −金融庁、ペイオフ解禁に向け容赦なし
- 十一月二十二日(木)、三栄信組(本店・東京都杉並区、理事長・雨宮良晴氏)が預金保険法第七十四条に基づく破綻申請を金融庁に行い、同日午後五時より信組会館で記者発表した。同信組では今年六月末の自己査定で▲四五億六八百万円の債務超過(自己資本比率▲七・五八%)に陥り、全信組連による優先出資の導入も断念、破綻となった。
- 第三、東京食品信組破綻
- −経営ジリ貧、再生力なし?
- 東京でまた信組破綻−−。第三信組と東京食品信組が、十一月三十日、預金保険法第七十四条に基づく破綻申請を金融庁に行い、同日午後五時より信組会館で記者発表した。
- 小規模信組の相次ぐ破綻
- −都道府県の監督責任大きい
- ○わずか2億円で破綻
- ○安易に潰しすぎの声も
- ○巷にはびこる「大きいことはいいことだ」主義
- ○監督していた都道府県の責任も?
- ○コスモ破綻以降、東京都は何をしていたのか?
- うしん破綻、「経営以前」だった
- 今年の二月からこの十一月中旬までに経営破綻に追い込まれた信金・信組などの協同組織金融機関は、全国で二十八件であるが、そのうち六件が信金で、そのまた三件が大分県内の信金。残りは沖縄と大阪の信金に栃木県の宇都宮信金である。経営破綻した信金、信組は殆どが地方の名もない信組・信金だが、栃木県の宇都宮信金は全信協副会長や関信協会長出身金庫で、業容では県内随一であったため全国的に著名な金庫で、その有名金庫の経営破綻は、いまなお業界筋では「なぜ、うしんが?」と疑問視されている。とかく話題性のある、かつては地銀の雄であった足利銀の地元信金とあって、風評に悪名≠フ相乗効果も働いているものと見られるが、次に破綻から一ヶ月経過の「うしん」のその後を取材して、業界の今後の経営反面教師とすることにした。
- 関西西宮信金、力尽きる
- −メディアの前打ち報道で混乱も
- 【西宮】兵庫県神戸市に本店のある関西西宮信用金庫は、十一月二十二日は、昨今の景況悪化による取引先の不振等から業績が悪化、正常な業務を行うことが難しいとして金融庁に破綻申請を出した。金融庁では直ちに預金保険法第七十四条一項の規定に基づき金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分が行われた。 なお、同日兵庫県内四信金が、「金融システム安定化」を最優先に、各信金の営業地域にある店舗等を、譲り受けることを表明した。
- 関西西宮信用金庫の概要 本店=神戸市中央区下山手通二―十二―三▼理事長=内藤昭▼預金量=三〇五九億円▼貸出金=二一七九億円▼自己資本比率=四・四二%▼店舗数=三十二店▼常勤役職員=四百四十三名
- 中津、臼杵、佐賀関信金、事業譲渡へ
- 【大分】大分県の中津信用金庫(大分県中津市)、臼杵信用金庫(同臼杵市)、佐賀関信用金庫(同佐賀関町)の三信金は、十一月十六日預金保険法に基づく破たん処理申請を金融庁に申し出た。
- 金融庁では同日、三信金に金融整理管財人の派遣を決定、預金は全額保護される。
- なお臼杵信金は大分信用金庫(本店・大分市、理事長・山上民也氏)が、中津信金と佐賀関信金は大分みらい信金(本店・別府市、理事長・高松右門氏)が、それぞれ事業を譲り受ける。
- なお破綻した三信金の自己資本比率は、中津信金がマイナス三・四三%(債務超過額十一億八千万円)、臼杵信金がマイナス五・九八%(十一億四千万円)、佐賀関がマイナス三・三一%(一億九千万円)。
- 三信金の概要は次のとおり。(業容は十三年三月末)
- 中津信用金庫
- ▼本店=大分県中津市豊田町二−五二八▼理事長 望月哲彦▼預金量=七六九億円▼貸出金=四九二億円▼ 自己資本比率=四・六六% ▼店舗数=十一▼常勤役職員=百三十四名
- 臼杵信用金庫
- ▼本店=大分県臼杵市大字臼杵七二−一二六▼理事長 小野都人▼預金量=三二六億円▼貸出金=二〇二億円▼自己資本比率=七・九五%▼店舗数=七▼常勤役職員=七十名
- 佐賀関信用金庫 ▼本店=大分県北海部郡佐賀関町大字関二二〇五−二▼理事長 和田喜代志▼預金量=一二五億円▼貸出金=七四億円▼自己資本比率=五・六二%▼店舗数=三▼常勤役職員=三十三
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- ペイオフ解禁、「現場」の対応は?
- −朝日信金、フジテレビ系で全国放映
- 十一月十一日(日)朝七時〜七時十五分、フジテレビ系の『話題にアタック』で朝日信金(理事長・塚原和郎氏)の「ペイオフ対応」が全国ネットで紹介された。 「ペイオフ解禁・あと半年」の特集にちなんで、ペイオフの基礎知識や、地域金融機関の対応を探ったもの。
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