2001/9/25号
揺らぐ、公金預金
地公体、金融不安に悩み多い
 マイカル破綻によるみずほグループの二千六百億円の中間赤字決算をはじめとする都銀各行の不良債権増大と赤字の急増、米国テロによる世界同時株安、この中間期から導入の本格的時価会計、減少する自己資本比率、大和銀、足利銀の経営不安説や、あさひ銀と大和銀の再編−と、金融業界は迷走中。また平成九年の「金融不安再燃」の様相が色濃くなってきている。
 しかし、半年後には、いやおうなく「ペイオフ解禁」。いつまで経っても安定しない金融システムとペイオフ解禁に、巷の不安は益々増大し、各自治体では公金預金の引き揚げと本格的な見直しが始まっている。
●自治体側、金融業界全体に不信感を持つ
●「絶対に毀損できない」−神経尖らす役所職員
●「分散なんてできない!」「何でペイオフ解禁を…」−地方自治体の声
●第三セクター、マイカル社債で110億円回収不能。問われる公的機関の運用方針
●金融業界、ペイオフ解禁に預金保護策を作ろうとするが…
●全信協、業界PR方法に試行錯誤
●信金業界は信金中金を信用の裏付けに


道端座長で、強力推進へ
−経営戦略システム会議
 これまで経営戦略システム会議の座長は長野幸彦全信協会長が務めていたが、長野会長はペイオフを前に信金業界への取材や広報活動、各課題の対応等で多忙となってきたため、このほど道端 進全信協副会長に座長をバトンタッチした。
 同時に、これは信金次期システムに反対の立場の東京共同加盟金庫に配慮したものとも見られる。
 後任の道端座長は、直言実行派≠ナつとに知られており、その手腕に期待が寄せられている。


次期システム、ベンダー3社に絞り込み
−地区別説明会で中間報告
 信金次期システムの構築を目指す経営システム戦略会議では、同システムの実現に向け活発な議論を進めているが、九月五日の会合で、今後の具体的な実務作業を進めるにあたっての「基本方針」を取りまとめた。全信協では、九月二十五日、関東から始まる全国信金への地区別説明会で、基本方針及び現在の検討状況を中間報告する。
●次期システム勘定系ベンダー3社に。12月までに絞り込み
●来年2月最終報告書策定、各金庫の参加・不参加の意志決定へ


「東都中央」で一丸となって!
−港・同栄、懇親会開く
 十月九日東都中央信用金庫として合併スタートする同栄信金(理事長・大貫久夫氏)と港信金(理事長・真鍋 勝氏)は、一月十一日の合併発表から九ヶ月経ち、新金庫の経営理念、ロゴマークが決まったことなどから、合併委員会、専門部会などの関係幹部が参集して、合併懇親会を開いた。
 冒頭、まず挨拶した同栄・大貫理事長は、「ともに七十六年の歴史を有する信金同士が合併することになったことが、地域のみなさまから大変大きな期待を持って迎えられた」と述べるとともに、「合併によって、都心部において一番の店舗数を有する信金となるが、最近の都心回帰の傾向が顕著に見られ、将来に対する明るい見通しも見えて非常にやりがいのあるスタートとなる。力を合わせて地域が期待するような東都中央信金を全員で作っていきたい」と挨拶。
 続いて、港・真鍋理事長は、「文化や考え方、価値観の違う同士がこの九ヶ月の短期間で合併委員会、専門部会等を通じ、相互に詰めてきた。その意味で、今日お集まりいただいた皆様には、合併の作業、大変ご苦労さまでした」と労をねぎらった。


マイカル破綻で、金融業界揺らぐ
 金融機関の中間決算(仮決算)直前の九月十四日に、潟}イカルが突如、民事再生手続となった。負債総額は、一兆七四二八億円(グループ七社合計)で、戦後四番目の規模。
 メーンのDKBがマイカルへ直近で一六一七億円もの融資をしていたのを始め、興銀七八六億円、富士七三七億円など、みずほグループ全体でマイカルへの融資は三一六一億円に及び、この影響で同グループは中間期で二千六百億円もの大赤字に。UFJグループ(三和、東海、東洋信託銀)は五一九億円(三和四五七億円、東洋信託六一億円、東海ゼロ)、あさひ銀七十億円、大和銀八十五億円の債権が取り立て不能と見られ、中間決算で引当処理へとなるなど、金融業界に大ショックと波紋を広げている。
 同時に、マイカルの普通社債三千五百億円がデフォルト(債務不履行)。機関投資家である金融機関や一般企業、また個人も戦後初の個人向け社債、FA債のデフォルトに大打撃を受けた。
 マイカルの社債格付けは民事再生法申請直前まで「B」クラスだったため「安心」して投資していた所が多く、思わぬ被害が全国各地に広がっている。

次期理事長は全国ベースの実力者、副には若手を
−信金年金基金、役員改選へ


インターネットが信用不安に?





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