2001/5/25号
信金年金、組織・意識改革するも、更に抜本改革必要!
−給付見直し必至か
 平成十二年度決算から(二〇〇〇年四月)新会計基準が導入され、退職給付債務―と、現在の年金資産や退職給付引当金の合計との差額を退職給付費用として企業会計に参入されることになった。
 また企業年金―特に厚生年金基金を行っているところでは、生保運用分の平均予定利率三・七%に対し、実質的には二・四%台と大きく下回っていること。また投資信託や証券運用などによる運用面でも、昨年度約二〇%の運用益を上げた国内株式関連が、今年三月末の米国のITバブル終演による市場の下落に連動した国内株式市場の大幅な落ち込みで、殆どの金融機関で収益環境が悪化、政府が押し進める不良債権の早期処理に大きな影を落とすことになった。
 平成十年から、信金年金基金の再建と存続を図るため就任した大木令司理事長(摂津信金会長)は、茂木勇副理事長とともに就任後直ちに、年金職員の意識改革並びに給与見直しを進めたほか、それまで信託銀行に丸投げしていた資産運用を見直し、成果主義で効果的かつ有効的な運用先にするなど、矢継ぎ早に年金改革を進めてきた。
 さらにこれまでの予定利率との乖離による積み立て不足分を補うため、昨年四月からの事業所分負担の増額並びに予定利率の四%への引き下げに加え、今年四月からは給付の二〇%カットを実施し、安定した信金年金基金再建に全力を注いできた。
 その結果、平成十一年度はほぼ十%に迫る運用利回りをあげたものの、今年一万二千円を割るなど動きを見せた株式市場では、国内投信を行っていたところは軒並みマイナス。特に日本株ファンドは、殆ど運用差損が出てしまったという。
 一般的にどこの年金基金でも国債等の運用では、そこそこの収益をあげたものの、国内株に投じた株式運用や投信で大きな差損が生じているため、各年金基金は大きな積み立て不足に陥り、中には一千億を越える年金債務超過になるケースも出ている。
 そのため新会計基準によれば、退職給付の未積み立て分として、一五年以内に償却する事が義務づけられたものの、確定給付型の企業年金を実施している企業や業界団体などからは、これ以上の負担は不可能として、ここにきて解散するところが多くなっている。


401k時代先取り
−ソニー銀行、6月開業へ
 イトーヨーカ堂、セブン−イレブン系のアイワイバンク銀行に続き、六月十一日、異業種参入第二弾でソニー銀行が開業する。
 アイワイバンクが「決済」重視型なのに対し、ソニー銀行は「ネットでの金融フルサービス」が売り物。
 開業時から普通預金、定期預金、カードローン、投資信託を取り揃え、その後さらに外貨預金、目的別ローン、住宅ローンなど次々商品、サービスを拡大。
 三年後には四十万口座、預金量五千億円。五年後には六十万口座、預金量一兆円、(国債等で運用し)経常利益五十億円のネット銀を目指す。

 コンセプトは、「『信頼できる友人』のような銀行」

 既存の銀行系ネットバンクと大きく違うのは、小口の顧客にもユーザー・フレンドリーな形にしたこと。
 銀行系ネットバンクの場合、例えば「三十万円未満の預金者については、口座維持手数料月千五十円」などと設定し、経費や収益面から細かな顧客をオミットした形だが、ソニー銀行の場合は口座維持手数料は一切設けない。かといって金利が悪いわけではなく、一年定期預金で〇・五%、普通預金〇・〇五%、カードローン六・五%程度と、有利。
 ソニー銀行では、「私達は、個人にとって『信頼できる友人』のような銀行になりたい」と、この狙いを語る。
 既存の銀行は個人には敷居が高くて慇懃無礼というイメージ。どうしても必要なので金庫代わりに使っているというだけで、結局、金融機関は個人の目線から一番遠いところにいるとの批判もある。個人客を主体とし、本来、最も個人を大切にすべきネット銀行でさえも、銀行側の論理で自社のコストの積み上げによってフィーやサービスを決めている。こうした方法はメーカー(まず販売価格を決めてからコストの削減を図る)の視点を持つ同行にはなじめない、ということのようだ。

 個人が株で資産形成する時代を先取り

 「信頼できる友人」のような銀行−の意味は、もう一つある。
 今後、日本にも徐々に金融商品の運用−一部の金持ちだけではなく一般の人、あるいは子供も普通に運用を行う時代がやって来る。さて、しかし、どのように資産形成をしたらいいか、運用、管理したらいいのか、よくわからない人が多い。その時に顧客が相談しやすく、またその相談に豊富な商品と知識で、できるだけわかりやすく応えられる友人のような金融機関になろう−との意味だ。
 そのために、同行では、『MONEYKit』という資産管理ツールを用意した。
 これは、インターネット上の画面にログインしていつでも使える金融ソフト。@振り込みや残高照会など手続き関係を揃えた『COMMONKit』。A定期預金、投信、カードローンなど各種金融商品の取引ができる『FUNDKit』。B資産状況を把握したり、運用をアドバイスする『TOOLKit』。C金融ニュースや為替レートのチェックができる『HELPKit』の四つの機能がある。
 中でも出色なのは、BTOOLKitの『MONEYKitアドバイスエンジン』。数十年に亙る生活設計−収入やライフイベント(結婚、出産、子供の進学、マイホーム購入など)−を入力すると、長期的な資産運用、資産配分をアドバイスしてくれるもので、個人でも投信等を使っての計画的な資産形成ができる。
 例えば、ミドルリスク、ミドルリターンを狙うポートフォリオをどう組んだらいいか。国内株式に何%、国内債券に何%、外国株式に何%、外国債券に何%投資した場合に収益はどうなるか−などのシュミレーション予測が可能。J.P.モルガン(四%株主)のノウハウによる“Morgan Asset Projection System(MAPS)”をベースに、資産運用専門家の投資理論、投資リスク分析などの専門的運用ノウハウが活用されていると言い、逐次、株式アナリストなどの最新分を取り込んで、日々、市場の予測を見直してくれる。
 また、一目で貯金残高や支出入バランスが見られる『MoneyView』や『支出チェック』は毎日や中期的な見やすい家計簿代わりといったところだ。

 子供や女性向けのツールも

 同行では、さらに、ポストペット(女性や子供に人気のソニー系メールソフト)のキャラクター(桃色のくまやら、ネコやら、ペンギンやら)を使ってポートフォリオの勉強などをする「MONEYKit−Postpet」を十月に追加する。
 米国のように、401kなど、一般市民や子供までもが日常的に資産運用をする時代を見越しての対応と言えそうだ。
 ソニーとしては、今後、「金融」が第二の経営の柱になると踏んでいるが、今回の銀行業参入により、生保、損保、カード、証券と揃えてきた金融業参入が「完結」することになる。
 「ソニー」という個人に絶大な「ブランド力」を武器に、どこまで発展していくのか。
 あるいは既存の自社金融系企業とのリンク。家電のネット販売(DVD付きのプレイステーション2やAIBOのネット販売は爆発的人気を呼んだ)。現在もso−netのsmashを通じて行っているネット決済。音楽ソフト子会社、SMEでの楽曲販売(一曲三五〇円)等での小額決済等々、周辺業務への広がりも予想され、非常に注目されるところである。
 なお、同行の場合も通帳はなく、ネット画面上で確認する仕組み。
 入出金については三井住友銀のATM及びコンビニam.pm.(九州除く)で(今年三月末で約七千六百台)行う。
 当面、店舗を開設する予定はなく、「インターネットでどこまでできるか」(ソニー銀行)、最大限、可能性を追求していくという。
 【ソニー銀行概要】設立=平成十三年四月二日◇本店=港区南麻布一−六−十八◇取締役会長=伊庭 保◇代表取締役社長=石井 茂(四十六歳。元山一證券企画室部長)◇資本=三七五億円◇主要株主=ソニー八〇%、三井住友銀行一六%、JPモルガン四%


東京相和、破綻から二年…
−ようやく6月、東京スター銀に譲渡へ
 一九九九年六月に破綻した東京相和銀行の事業譲受先が長らく決まらなかったが、米投資ファンド系会社が東京スター銀行を受け皿金融機関として新設。
 東京スター銀行は五月十四日、金融庁から銀行業及び担保附社債に関する信託事業の免許を受け、同日、埼玉県さいたま市の関東財務局において、二宮関東財務局長が同行大橋頭取に免許を手渡した。
 同行は、東京相和銀本店のある東京都港区赤坂一丁目六番十六号に本店を置く。代表取締役は大橋 宏氏(元住友信託銀副社長)。資本金二百億円で、LSF Tokyo Star Holdings,S.A.とTSB Holdings,S.A.が各五〇%の株を持つ。
 スタート時の預金量は約八千億円、貸出金約六千五百億円の見込み。最盛期のざっと三分の一以下となる。
 店舗数は首都圏に五十六店(四十五店減少)。
 役職員数は千五百名程度。東京相和の役職員数は去年三月末で約千九百名を数えたが、約四百名減少の規模となる。
 事業規模と営業開始は、六月十一日の予定。
 【解説】東京相和銀の事業譲渡先については、長銀、HIS(格安航空券販売)。幸福銀行等の譲渡先であるWLロス・アンド・カンパニー(アジア・リカバリー・ファンド)などが候補に上がり、破綻一年後の昨年六月、WLロス・アンド・カンパニーに一旦は候補が絞られた。
 が、結局、条件面で折り合わず、昨年十一月、基本合意は解消≠ウれ、その後の交渉で、米系投資ファンドのローンスターが引き受けることとなったもの。
 長銀を購入し新生銀行を設立したリップルウッド、東京相和銀行を購入したローンスターなどはいずれもプライベート・エクィティ・ファンドと称する投資組合で、投資信託、個人年金の運用主体である年金基金などが出資している。


ペイオフ対策、大丈夫?
 ペイオフ解禁を来年四月に控え、各信金では大口顧客の管理や、職員教育、顧客への正しい知識の周知等々、個別で色々と対応を図っているところ。
 こうした中、ある大手金庫では、まだペイオフ対策として見落とされている点がいくつかある−として、参考のため自金庫での対応方法を語ってくれた。


外へのグチぶちまけで評判ガタ落ちに…
−風評リスクを起こすのは内部の役職員
 


同栄、港の合併進捗状況


半田信金、創立70周年で地元8市町に福祉目的寄付
 

王子信金、創立80周年役職員懇親会開く
 

千葉、木更津、成田12月に合併へ


横山大観、東山魁夷、伊東深水など大家の作品が一堂に
−東海地区信用金庫協会、信金制度50周年記念で美術展
 東海地区信金協会(会長・伊藤正雄氏)では、信金法制定五十周年記念の特別企画として『近代日本画の巨匠たち』を、六月十日(日)〜しんきんの日の十五日(金)まで、JR名古屋駅上のJRセントラルタワーズ十二階タワーズプラザホールで実施する。
 これは、東海地区にとどまらず、全国の信金から協力を願い、各信金所蔵の美術品を出展するもので、青梅、浜松、岐阜、関、豊田、京都中央信金等の各信金から計五十三点出展される予定。
 青梅信金の横山大観、東山魁夷、河合玉堂をはじめ、各信金では数々の名作を所有しており、今回の信金美術展には錚々たる大家の作品が一同に会することになる。
 なお、観覧料は一般・大学生500円、小中高生無料。開催時間は10時から19時。

旧京都みやこ本店ビル、龍谷大学が地域の拠点に


第二地銀協会長に一色氏
 


信金トピックス
○融資支援システムを開発−大阪市信金
○「夏得キャンペーン」−岐阜信金
○多摩中央、通帳副印鑑票を廃止  





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