2000/3/25号
信金が勝ち組になるため21世紀“金融戦略”の“要”に!
SSC、信金次期システム構築へ
 個人でさえ、ざっと三割がコンピュータを持つ時代。コンピュータの急速な進展と普及に伴って、今やシステムは経済活動に欠かせないものになっている。あらゆる業種でIT(情報技術)革命が叫ばれ、これがないことには企業が「滅びる」とさえ言われるほど重要視される時代になっている。
 金融業界においては、特にIT投資が金融機関の優劣を決すると言われ、各大手都銀の相次ぐ統合も、IT投資を積極的に行って国際競争力をつけ、米銀への巻き返しを図ろうとするもの。
 また一方では、全国的にコンビニ展開をしているセブン・イレブンの母体であるイトーヨーカ堂や、総合家電のSONY、インターネット事業を幅広く展開するソフトバンクなどが、銀行業務へ参入しようとしており、金融業界だけでなく他業態との競争も今後はますます激しくなっていくものと思われる。
 まさにシステム戦略は、二十一世紀の金融戦略の要と言っても過言ではないだろう。
 こうした流れの中、創立以来、常に業界ニーズの先取りをしようと努力しているSSC(しんきん情報システムセンター)では、全信協の委託を受け、一昨年より信用金庫の次期システムについて検討している。
 二月に入って各地区の共同事務センターでも次期システムについての検討会が設けられているが、SSCの次期システム研究会では、一足早く今年六月にも答申が出される。
 こうした問題を含めて、システムから見た二十一世紀の信用金庫のあり方について、SSC・高橋社長にザックバランに聞いた。

越智大臣辞任でますます活気づく監督庁
 株式会社銀行と協同組織金融機関の経理基準を区別しての「ダブルスタンダードはやらない」とする金融監督庁の金融検査マニュアルは、地価の高騰・暴落の激しい大都会地周辺信金を中心に、「金庫並びにその取引先中小企業筋」に「過剰検査だ」「血も涙もない」画一的な検査だ−などとして、かなりの反発を招いている。
 こうした中、三月十七日の全信協理事会後に、昨年の九月に引き続き第二回目の監督庁と信金業界との意見交換会が開かれ、監督庁から乾 文男監督部長はじめ、本間検査部検査総括課長、西原監督総括課長、北川同課課長補佐の四人が訪れ、質疑応答の中で検査マニュアルについても、当局側の考えを述べた。
 全体の印象として、監督庁の方にも金融事情に精通していた越智再生委員長が在任していた頃は、ややおとなしくしていたようだが、越智委員長という“目の上のタンコブ”がなくなったので、また監督庁ベースになって、「柳澤委員長時代に全く逆戻り」といった感じの姿勢のようだ!と関係者は異口同音に語っている。
「信用金庫の皆さんのご意見は聞く。しかし、あくまで健全性の尺度にダブルスタンダードはない」と監督庁側は力説していたとされる。

デビットカード、スタート
消費者なおざり、銀行POSの二の舞懸念も?
 三月六日から、いよいよ日本でもデビットカードが本格スタート。都地銀、長信銀、信金、信組、郵貯など九一七金融機関が参加し、百貨店、スーパー、ガソリンスタンドなど全国十万個所で利用できることとなった。
 デビットカードとは、ショッピング店(加盟店)の店頭で、金融機関のキャッシュ・カードから直接、即時代金決済するもの。利用者にとっては、時間外にATMを使うと引出手数料がかかるところ、デビットなら手数料ゼロで済む。加盟店側は利用のたびに加盟店手数料を払うが、衝動買いの買物客が増えて売上げが上がる期待がある。が、やはり最もメリットの大きいのは金融機関で、買物決済のたびに確実に入る一%の手数料収入が魅力。
 もともとデビットは「十五年ほど前に始まり、不評で事実上挫折した『銀行pos』の焼きまし」とも言われるが、「参加金融機関数も加盟店の数もごく限られていた銀行posとは違う。posはいちいち利用時に捺印が必要だったが、デビットは利用客が店頭端末に暗証番号を打ち込むだけで、利便性も相当アップした」と、関係者ら。
 デビットスタート時の金融機関の反応、今後のデビットの利用見通し、普及のためのポイント等を探ってみた。

現職トップ二人逝く

 桐生信金・増山前理事長が三月二十三日午後八時四分、肝不全により亡くなった。五十六歳の若さだった。同金庫では、昨年五月、戦後の桐生信金発展の礎を築き中興の祖でもあった増山作次郎前会長が逝去。それから一年も経たないうちに後任の増山公男前理事長も亡くなり、立て続けに主を失うという不幸に見舞われた。